夏のストレス ~セルフケアの勧め~

梅雨が明け、容赦なく降り注ぐ太陽の日差しによって気分が上向きになる一方で、日々の職業生活を阻害する可能性のある夏特有のストレスが迫っています。
毎年避けることが難しいストレスにどのように対処すればよいのでしょうか。個々のストレス対処能力によってストレス反応は変わってきます。この季節特有のストレス要因、そしてその対処法をご提案します。
目次
1.夏特有のストレス

①暑さ
暑すぎるなどの環境条件には逆らうことはできません。これは大きなストレス要因になりえます。この暑さに身体を適応させようとしている状態をストレス状態と呼びます。高温多湿、そして冷房による急激な寒暖差は自律神経に大きな負担となりストレスを引き起こします。
②生活リズムの変化
夏は日照時間が長かったり、長期休暇が取得できたりすることで、睡眠リズムが乱れがちになります。気持ちも開放的になり、活動量が増えることで疲労の蓄積も懸念されます。
③人付き合いの変化
様々な行事が増える時期です。普段会わないような人と関わったり、人付き合いが増加したりすることによる対人ストレスも抱えやすい時期と言えるでしょう。
2.ストレス対処策

それぞれ夏特有のストレスに対する対処策についてお伝えします。
①睡眠
暑すぎたり、日照時間の長さから普段動かない時間帯に活動をしたりなどで睡眠が乱れてしまうと一日の疲労が回復できないまま次の日を迎えることになってしまいます。ストレス対処の基本の一つは睡眠です。適切な睡眠環境を整えることが大切です。良い睡眠を導くものとして以下をお勧めします。
- 空調によって適度な温度と湿度を保つ
- 落ち着いた色調の寝具にする
- 気になる音をシャットアウトする
- 暑すぎない温度で入浴する
- 空腹状態でベッドに入らない
- 眠くないのにベッドに入らない
- 寝る直前のスマホ、パソコン、ゲームを控える
②リラクセーション法
避けることの難しいストレスを軽減するためには日々のリラクセーションを心がけましょう。
入浴や深呼吸などでリラックスした状態を意識的に作り出します。
気持ちがゆったりと穏やかで筋肉がほぐれ、必要以上の力が入らずに程よく脱力している状態を味わいましょう。
このようなリラックス状態は、仕事や人間関係において、私たち本来の力を発揮できる土壌をつくってくれます。
③人付き合いの見直し
不快な暑さが続く状況では、イライラしやすくなることもあると思います。
『Forbes JAPAN』が2023年に公開したアメリカのNPO(GVA:GUN VIOLENCE ARCHIVE)のデータによると、2022年に起こった銃撃事件の内、86%が夏場に発生していました。
日常生活でも暑さに対して対処が難しい外出時などは不快感が増してしまうことは容易に想像がつくと思います。
しかし、暑いからと言って活動が制限できない状況も多々あるでしょう。
セルフケアの一環として、感情のマネジメント方法について学んでみたり、無理のない範囲でスケジュールを立てたりするなどして、夏季に生じやすい、地域社会、親族、学校との交流など社会的な役割や責任を中心とした人付き合いにも上手に対処できるようにしましょう。
3.まとめ
夏は多くのストレス要因があります。それによるストレス状態を単なる「夏バテ」と侮っていると、日々の業務、そして休暇明けの生活に支障をきたすこともあります。自分に最適なストレス対処策を見つけて、健康的な夏を過ごしましょう。
弊社は日頃から従業員の皆様に適切なセルフケアを行っていただけるような研修をご提供しています。従業員の皆さまの健康を守るための施策に取り組んでいきましょう。
参考:藤垣裕子・飯田裕康(1992) メンタルワークロード概念の諸相 労働科学68,11/GUN VIOLENCE ARCHIVE(2023)
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大学では精神分析学をオリエンテーションとし、大学院修了後は精神科にて約5年の臨床経験を積む。
現在は企業向けにストレスチェックの分析や面談、研修、保健師とともに育休前面談などを行い、様々な形で企業を支援する。