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親が「デイサービスに行きたくない」と言ったら? 家族が知っておきたい「デイサービスの本当の役割」


介護と仕事の両立を、少しでも支えるために

日頃より、お仕事お疲れさまです。

「親がデイサービスを嫌がっている」「休ませてもいいのか気になる」——これは介護の専門的な話というより、実は働く人自身のパフォーマンスに直結する身近なテーマです。

在宅で親を介護しながら働く社員は、少なくありません。介護がうまく回らず不安を抱えたまま出社すれば、集中力の低下や急な早退・欠勤につながることもあります。「デイサービスをどう活用するか」は、実は仕事と介護の両立を左右する重要なポイントなのです。

当社では、仕事と介護の両立支援の一環として、介護サービス事業者との協業により、社員やご家族が相談できる体制づくりをサポートしています。今回は、デイサービス経営者・在宅介護サポーターの永井玲子さんに、デイサービスの本当の役割と、家族が知っておきたいポイントを伺いました。人事総務ご担当者様、そして産業保健スタッフの皆様にも、社員への情報提供や相談対応の参考にしていただければと思います。

【このコラムのポイント】

・デイサービスは「介護する家族の負担・孤立を防ぐ場所」でもある

・「デイサービスを利用する=介護放棄」ではない。抱え込まないことが両立のカギ

・デイサービスは本人にとっても「預ける場所」ではなく「社会とのつながりを続ける場所」

・「行きたくない」と言われたときは、休ませるか無理に行かせるかの二択にしない

【目次】

  1. デイサービスは、介護する家族を支える場所でもある
  2. 「親を人に預けている」という罪悪感を抱えなくていい
  3. そもそもデイサービスは「預ける場所」ではない
  4. 家に閉じこもることで起きる3つの「見えないリスク」
  5. 「危ないから座っていて」が本人の役割を奪うことも
  6. 【実例】家に閉じこもっていた80歳女性が取り戻したもの
  7. 「行きたくない」と言われたときの向き合い方
  8. まとめ:家族だけで抱え込まない環境を
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1.デイサービスは、介護する家族を支える場所でもある

デイサービスを利用することに対して、

「親を人に預けて、自分だけ楽をしている気がする」

と罪悪感を抱く人もいます。

特に、仕事をしながら親を介護している人ほど、

「仕事も介護も自分がきちんとやらなければ」

と頑張りすぎてしまうことがあります。

しかし、在宅介護は数週間、数か月で終わるとは限りません。

何年も続く可能性があります。

家族だけで介護を抱え込み、十分に眠れない、仕事に集中できない、自分の時間がまったく取れないという状態が続けば、介護する側が体調を崩してしまうこともあります。

永井さんもこれまで、周囲に迷惑をかけまいと家族だけで頑張り続けた結果、介護する人自身が疲弊してしまったケースを数多く見てきたといいます。

デイサービスは、本人のためだけに存在するサービスではありません。

本人が社会とのつながりを保っている時間に、家族は仕事をする、休息を取る、自分自身の生活を維持する。

それも、在宅介護を長く続けるために必要なことです。

この章のポイント

介護する家族が休むことも、仕事を続けることも大切です。デイサービスを上手に活用し、「家族だけで介護を抱え込まない環境」をつくりましょう。

2.「親を人に預けている」という罪悪感を抱えなくていい

「デイサービスを利用する=家族が介護を放棄する」ということではありません。

介護サービスや専門職の力を借りながら、家族だけで抱え込まない仕組みをつくることが、結果として本人と家族双方の生活を守ることにつながります。

働きながら親を介護する家族にとって、デイサービスは在宅介護を無理なく続けていくための大切な支えです。まずはこの前提を知っておくことが、両立の第一歩になります。

3.そもそもデイサービスは「預ける場所」ではない

デイサービスというと、「日中、高齢の親を預かってもらう場所」というイメージを持つ人も多いかもしれません。

しかし、その役割はそれだけではありません。

デイサービスは、単に高齢の親を「預ける場所」ではありません。

本人が人と関わり、身体を動かし、「自分にもまだできることがある」と感じながら、社会とのつながりを保つ場所でもあります。

デイサービスには、

・本人の自信や役割を守る

・身体を動かす機会をつくる

・人との会話や刺激を増やす

・社会とのつながりを維持する

・介護する家族の負担や孤立を防ぐ

といった役割があります。

この章のポイント

デイサービスは「預ける場所」ではなく「社会とのつながりを続ける場所」。家族の負担軽減も、その役割のひとつです。

4.家に閉じこもることで起きる3つの「見えないリスク」

「デイサービスへ行きたくないのであれば、家でゆっくり過ごしてもらえばいい」

一見すると、本人にとって負担の少ない選択に思えます。

しかし、家で過ごす時間が長くなることで、次のような変化が起こりやすくなります。

・身体を動かす機会が減る

・人と会話する機会が減る

・外から受ける刺激が減る

例えば、家ではテレビを見ながらウトウトして、気がつけば一日が終わっていた、という生活になりがちです。

デイサービスへ行けば、家を出るために着替え、玄関まで歩き、車に乗り、施設ではほかの利用者やスタッフと会話します。

特別な運動をしていなくても、こうした一つひとつの行動が、日常生活の中で身体や頭を使う機会になります。

特に認知症のある方の場合、日中に寝る時間が増えて生活リズムが崩れ、昼夜逆転につながることもあります。

夜間に何度も起きたり活動したりするようになると、介護する家族も十分な睡眠を取れなくなります。

本人だけでなく、家族の生活にも影響が及ぶ可能性があるのです。

この章のポイント

家にいることが必ずしも「本人にとって一番楽で安全」とは限りません。外出、人との会話、日常的な活動も、生活を維持するうえで大切な要素です。

5.「危ないから座っていて」が本人の役割を奪うことも

親が高齢になると、

「転んだら危ないから座っていて」

「私がやるから大丈夫」

「無理して動かなくていいよ」

と声をかける機会が増えていきます。

もちろん、家族としては親を心配しているからこその言葉です。

しかし、この気遣いが続くことで、本人が日常生活の中で身体を動かす機会だけでなく、「自分の役割」を失ってしまうことがあります。

永井さんのデイサービスでは、利用者の状態に合わせながら、食器を片付けたり、洗濯物をたたんだりといった日常的な活動も行っているそうです。

一見すると、特別なことではありません。

しかし、

「ありがとうございます」

「助かりました」

と周囲から声をかけられることが、本人にとって大きな意味を持つ場合があります。

「自分にもまだできる」

「自分も誰かの役に立てる」

という実感が、自信につながるからです。

また、デイサービスにはほかの利用者やスタッフがいます。

人と話し、笑い、何かを一緒にする。

こうした社会とのつながりを持ち続けることも、デイサービスの大切な役割のひとつです。

この章のポイント

「何もしなくていい環境」をつくることだけが介護ではありません。本人が無理のない範囲で役割を持ち、「まだできる」と感じられる環境をつくることも大切です。

6.【実例】家に閉じこもっていた80歳女性が取り戻したもの

永井さんが実際に関わった、80歳代の女性の事例をご紹介します。

この女性は、ちょっとした日常の動きで骨折し、入院することになりました。

骨折したことで、

「こんなことで骨折してしまった」

「また家族に迷惑をかけてしまうかもしれない」

と自信を失ってしまったそうです。

そして退院後は、

「もう動かない方がいい」

と考えるようになり、自宅でほとんど身体を動かさなくなりました。

次第に何かをする意欲もなくなっていき、その様子を見た家族は、

「認知症が進んでしまったのではないか」

と心配していました。

そこで、デイサービスへ通うようになりました。

デイサービスでは、食器の片付けや洗濯物をたたむといった、本人ができる日常的な活動を一緒に行いました。

そして周囲から、

「ありがとう」

と言われる経験を重ねていきました。

すると、少しずつ「自分にもまだできる」という自信を取り戻していったといいます。

さらに、ほかの利用者との会話も増えました。

その変化はデイサービスの中だけではありません。

自宅でも少しずつ身体を動かすようになり、笑顔も増えていきました。

この女性は、入院中には要介護4と認定されていましたが、その後、半年ほどで要介護1になりました。

もちろん、要介護度の変化にはさまざまな要因があり、すべての人が同じように改善するわけではありません。この事例はあくまで永井さんが実際に関わった一例です。

それでも、この女性の変化から見えてくる大切なことがあります。

永井さんは、

「人は『自信』と『人との関わり』によって、元気を取り戻していくことがあります」

と話します。

この章のポイント

身体の状態だけを見るのではなく、「自分にもできる」という自信や、人とのつながりを持ち続けることも、その人らしい生活を支えるうえで大切です。

7.「行きたくない」と言われたときの向き合い方

デイサービスを利用しているご家庭では、

「今日は疲れているって言うから……」

「腰が痛いと言っているから……」

「本人が嫌がっているから、今日くらい休ませよう」

と考えることもあるでしょう。

もちろん、発熱や痛みなど体調に問題がある場合には、無理に利用する必要はありません。

一方で、永井さんによると、特に体調上の問題がないにもかかわらず、「行きたくない」という本人の言葉だけで休ませてしまうご家庭も少なくないといいます。

最近では在宅勤務をする人も増え、

「今日は自分が家にいるから、デイサービスに行かなくても大丈夫」

と思うこともあるかもしれません。

しかし、ここに在宅介護のひとつの落とし穴があります。

一度休んだことをきっかけに、次も、その次も……と休むようになり、次第に外出そのものが億劫になってしまうことがあるからです。

大切なのは、「本人が嫌がっている=休ませる方が本人のため」と、すぐに結論を出さないことです。

なぜ行きたくないのか、体調が悪いのか、それとも別の理由があるのか、まずは理由を確認してみることが大切です。

そのうえで、

・その日だけの気分によるものなのか

・体調不良が背景にあるのか

・デイサービスの活動内容が本人に合っていないのか

を見極めることが、対応の第一歩になります。

もし体調に大きな問題がなく、「なんとなく気が乗らない」という理由であれば、無理のない範囲で送り出してみることも一つの選択です。

実際に行ってみると、いつも通り楽しく過ごせることも多いといいます。

一方で、「デイサービスの雰囲気が合わない」「活動内容が本人に合っていない」といった理由であれば、無理に継続するのではなく、ケアマネジャーや事業所に相談し、他の事業所への変更を検討することも選択肢のひとつです。

永井さんは、

「『休ませるか、行かせるか』の二択ではなく、まずは理由を確認し、本人に合った関わり方を一緒に考えていくことが大切です」

と話します。

そして、家族だけで判断に迷ったときは、ケアマネジャーやデイサービスのスタッフに相談することも重要です。

介護は、家族だけで抱え込むものではありません。

専門職や事業所と一緒に、本人にとっても家族にとっても無理のない形を探っていくことが、在宅介護を長く続けていくための力になります。

この章のポイント

「行きたくない」という言葉だけで判断せず、まずは理由を確認すること。そして、家族だけで抱え込まず、ケアマネジャーや事業所に相談しながら対応を考えることが大切です。

8.まとめ:家族だけで抱え込まない環境を

今回は、デイサービス経営者・在宅介護サポーターの永井玲子さんに、デイサービスの役割と、家族が知っておきたい向き合い方について伺いました。

・デイサービスは、本人が社会とのつながりを保ちながら、自分の役割や自信を持ち続けられる場所である

・同時に、介護する家族の負担や孤立を防ぐ場所でもある

・「行きたくない」という言葉だけで判断せず、まずは理由を確認することが大切

・家族だけで抱え込まず、ケアマネジャーや事業所など専門職に相談しながら対応を考えること

仕事をしながら親の介護に向き合う社員にとって、在宅介護は先の見えない、長丁場になることも少なくありません。

そんなときに、デイサービスをはじめとした介護サービスや専門職の存在を知っておくことは、家族が孤立せずに介護を続けていくための大きな支えになります。

当社では、社員の皆様が仕事と介護を無理なく両立できるよう、介護サービス事業者との協業により、相談できる体制づくりをサポートしています。

「親の介護について、どこに相談すればいいか分からない」「利用しているデイサービスの対応に迷っている」といったお悩みがあれば、まずは人事総務担当者、産業保健スタッフにご相談ください。

必要に応じて、協業する介護サービス事業者や専門職への相談につなぐこともできます。

働く人が安心して仕事と介護を両立できるよう、これからも情報発信を続けてまいります。

(文・監修/永井 玲子)
デイサービス経営者/介護福祉士/在宅介護サポーター
株式会社Caihome 代表取締役 https://www.cai-home.com/
民家型デイサービスを運営
現場第一主義の介護エキスパート。数多くの在宅介護現場を支え、家族と事業者の架け橋として活動。専門知識に基づき、現実的かつ即効性のあるアドバイスを提供。

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