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産業医選任届の提出に必要な書類と入手方法・記入例を解説


労働安全衛生法によって、従業員が50人以上の事業場では、産業医の選任が義務付けられています。産業医を選任した場合、産業医選任報告とよばれる手続きが必要です。その際、必要となるのが選任届です。
この記事では、産業医の選任届とは何かといった基礎知識から、提出に必要な書類や入手方法などを解説します。

目次

  1. 産業医の選任届とは?必要な書類も合わせて紹介
  2. 産業医の選任届を提出する必要があるケース
  3. 産業医選任届の提出期限と届出先
  4. 産業医選任報告書の入手・作成・提出方法
  5. 産業医選任報告書の記入例とポイント
  6. まとめ:産業医の選任届は速やかに提出しよう

1.産業医の選任届とは?必要な書類も合わせて紹介

産業医の選任届とは、産業医を選任したのち、事業場を管轄する労働基準監督署へ提出する報告書のことです。

報告書は所定の様式が定められており、厚生労働省から指定されている報告書を利用する必要があります。詳しくは後述しますが、報告書には事業場の労働者数や医籍番号などの情報を記入することが求められます。

また、選任届を提出する際には、医師免許の写しと産業医の資格を証する書面も提出しなければなりません。社会保険労務士または社会保険労務士法人が申請書を作成し、提出代行を行う場合は「提出代行に関する証明書」が別途必要となります。

参照元:e-Gov電子申請 産業医の選任報告

2.産業医の選任届を提出する必要があるケース

産業医の選任届は、新たに産業医を選任する場合と産業医を交代する場合に提出する必要があります

詳しく見ていきましょう。

産業医を新たに選任する場合

産業医を新たに選任する場合、産業医選任届を提出する必要があります。(労働安全衛生規則第2条第2項)

なお、従業員が3,001名以上の事業場においては、専属産業医を2名以上選任しなければならず、産業医ごとに選任届の提出が求められます。

産業医を交代する場合

すでに産業医がいるものの、自社に適していないと判断し、交代を検討するケースはあるでしょう。産業医を交代する場合も、産業医選任届を提出しなければなりません。(労働安全衛生規則第2条第2項、第13条第2項)

なお、産業医を交代する際、新しく選任する場合と同様、選任届に加えて以下の書面を提出する必要があります。

  • 対象となる産業医の医師免許の写し
  • 産業医の資格を証する書面

3.産業医選任届の提出期限と届出先

産業医選任届の提出に関する期限には明確な日数の決まりはないですが、選任しないことによる罰則が労働安全衛生規則120条が定められています。(50万円以下の罰金)選任届を提出して「選任している」証明になるので、選任届をすみやかに提出し産業医を選任している証拠は残しておくことが望ましいでしょう。

産業医選任届は、事業場を管轄する労働基準監督署へ提出します。自社を管轄する場所については、都道府県ごとの労働基準監督署の所在地一覧で確認できます。

参照元:労働基準監督署 所在地一覧

4.産業医選任報告書の入手・作成・提出方法

産業医選任届に用いる報告書は、労働基準監督署で直接入手できます。しかし、以下3つの方法であれば、インターネット上から選任届を入手できるため、わざわざ足を運ぶ必要がなく便利です。

入手先作成方法提出先
厚生労働省公式サイトダウンロードして記入所轄の労働基準監督署
厚生労働省入力支援サービスサイト上で入力所轄の労働基準監督署
e-Gov電子申請サイト上で入力サイト上で提出e-Gov申請

1つずつ解説します。

厚生労働省サイトからダウンロードして提出する

まず1つ目は、厚生労働省サイト上にある「総括安全衛生管理者・安全管理者・衛生管理者・産業医選任報告」様式のPDFをダウンロードする方法です。

ダウンロードして印刷した報告書は、オンラインでの申請はできません。必ず印刷し、黒のボールペンで記入後、所轄の労働基準監督署へ提出します。また、機械で読み取るため、印刷に使用する際、白色度80%以上の用紙(一般的な白色の印刷用紙であれば使用可能)の使用が求められているため、注意が必要です。

参照元:厚生労働省

厚生労働省のサイトで作成する

2つ目は「厚生労働省労働安全衛生法関係の届出・申請等帳票印刷に係る入力支援サービス」のサイト上で入力する方法です。

事前の申請や登録は不要で、わざわざ行政機関に足を運ばなくても手軽に入力できます。ただし、オンライン申請はできないため、白色の印刷用紙に印刷して、所轄の労働基準監督署へ提出する必要があります。

入力操作中、60分通過すると通信が切断されるため、こまめな一時保存をすると良いでしょう。労働保険番号や産業医の医師番号など、手元に準備しておくとスムーズに入力できます。

参照元:厚生労働省労働安全衛生法関係の届出・申請等帳票印刷に係る入力支援サービス

e-Gov電子申請でネット申請する

3つ目は、行政手続きをネット上で行える「e-Gov電子申請」を活用する方法です。産業医選任報告書の入手、作成から届出まで一貫して行えます。

利用にあたって、以下3つの設定が必要です。

  • アカウントの準備
  • ブラウザの設定
  • アプリケーションのインストール

24時間いつでも申請できるため、忙しい事業主や人事担当者の方にも便利だと考えられます。申請した内容はマイページ上に保存されるため、処理状況や提出先からの通知をいつでも確認できます。
参照元:e-Gov電子申請

5.産業医選任報告書の記入例とポイント

産業医選任報告書の記入例は、以下の通りです。

出典:安全衛生ハンドブック(奈良産業保健総合支援センター)

赤字で記されている部分の記入が必要です。具体的な内容を以下にご紹介するので、項目ごとのポイントを押さえておきましょう。

・労働保険番号

事業場ごとに交付される番号を記入します。

・事業場の名称

事業場の正式名称を記入します。

・事業場の種類

日本標準産業分類を参照して記入します。自社に該当する業種を大分類A〜Tの中からクリックし、中分類を選びましょう。例えば建築リフォーム工事業の場合、大分類D、中分類の中にある0661となります。

参照元:総務省 日本標準産業分類

・電話番号

事業場の電話番号を記入します。番号はダッシュ(ー)で区切ります。

・労働者数

常時雇用する従業員の人数を記入します。

・被選任者氏名・フリガナ

産業医に選任された人の名前を記入します。

・専属の別

専属の産業医か、非専属かどうかを記入します。常時1000人以上の労働者や有害業務の従事者が500人以上いる事業場の場合は、専属産業医です。

・専任の別

選任された医師が産業医のみであれば選任、他の事業場に勤務している場合は兼職であり、その勤務先を記入します。

・産業医の医籍番号と種別

医師免許証に記載されている医籍番号を記入します。また、産業医の資格要件に応じたコードを記入します。該当コードは、以下の通りです。

コード種別
1労働者の健康管理等を行うのに必要な医学に関する知識についての研修であって 厚生労働大臣の指定する者( 法人に限る。)が行うものを修了した者
2産業医の養成等を行うことを目的とする医学の正規の課程を設置している産業医科大学その他の大学であって厚生労働大臣が指定するものにおいて当該課程を修めて卒業した者であって、その大学が行う実習を履修したもの
3労働衛生コンサルタントで試験区分が保健衛生である者
4大学において労働衛生に関する科目を担当する教授、准教授又は講師の職にあり又はあった者
5労働安全衛生規則第14条第2項第5号に規定する者
6平成8年10月1日以前に厚生労働大臣が定める研修の受講を開始し、これを終了した者
7上のいずれにも該当しないが、平成10年9月30日において産業医としての経験年数が3年以上である者

参照元:総括安全衛生管理者・安全管理者・衛生管理者・産業医選任報告

・産業医交代の場合

産業医を交代する場合、前任産業医の氏名・ふりがな・交代年月日を記入します。

・参考事項

初めて産業医を選任した場合は「新規の選任」と記入します。また、産業医の専門科目と開業の有無も記載が必要です。記入する前に、産業医に確認しておくと良いでしょう。

・事業者職氏名

選任報告書の届出日、届出先、代表者の氏名を記入します。

6.まとめ:産業医の選任届は速やかに提出しよう

産業医の選任届とは、産業医を選任したときに提出すべき書類のことです。産業医選任届の提出期限には明確な日数の決まりはありませんが、産業医選任後は速やかに報告書の届出を済ませましょう。

産業医を選ぶにあたっては、産業医選任サービスを活用する方法があります。弊社が提供する産業医選任サポートサービスは、産業医にまつわるあらゆる選任ニーズにお応えし、産業保健体制を構築します。産業医の選任から、労働基準監督署に提出する書類の整備などを行います。各種相談などサポート体制も万全なので、お気軽にお問い合わせください。

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