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産業医との契約書の内容とは?ひな形・作成ポイント・注意点を解説


事業場の従業員が50名以上の場合、産業医を選任し、契約書を交わす必要があります。しかし、産業医の契約書に記載する具体的な内容や注意点が分からないと感じている方は多いのではないでしょうか。

この記事では、産業医の契約書の記載内容やひな形、契約書を交わす際の注意点を解説します。産業医の契約書に関するよくある質問にもお答えするので、ぜひ参考にしてください。

目次

  1. 産業医と契約書を交わす重要性
  2. 産業医との契約書締結で重要な勤務形態
  3. 産業医との契約書締結で重要な契約形態
  4. 産業医との契約書に記載すべき内容
  5. 産業医との契約書のひな形
  6. 産業医と契約書を交わす前の注意点
  7. 産業医の契約書に関するよくある質問
  8. まとめ:産業医の契約書は条件面をできるだけ具体的に記載しよう
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1.産業医と契約書を交わす重要性

産業医と契約書を交わすことは、どのような契約形態であっても重要です。

契約書に産業医が行う業務内容が具体的に記載されることで、法や規則に基づいた産業医業務を認識の相違なく遂行してもらうことができます。それによって、報酬面や法令の遵守の確認によって、法的なトラブルを防ぐことも可能です。

契約書には、産業医と事業場双方が不利にならないよう、各項目の内容を具体的に記載しておく必要があります。

契約書を交わすことで、事業場と産業医の役割が明確になり、トラブルも軽減し良好な関係を築きやすくなるでしょう。

2.産業医との契約書締結で重要な勤務形態

産業医との契約書締結において、勤務形態の理解は重要です。勤務形態には、嘱託産業医と専属産業医があります。それぞれ解説します。

嘱託産業医

嘱託産業医とは、非常勤の産業医です。普段は開業医や勤務医として診療に携わる傍ら、産業医の業務を担っているケースが大半です。企業に常駐せず、月に1〜数回の訪問時に、面接指導や職場巡視などを行います。

50人以上999人以下の事業場では、産業医の設置が義務付けられていますが、専属産業医である必要はありません。

専属産業医

専属産業医とは、複数の事業場を掛け持ちすることなく、その事業場専属で業務を行う産業医です。常時1,000人以上の従業員を使用する事業場と、有害業務に常時 500人以上の労働者を従事させる事業場では、専属産業医を1人以上設置しなければなりません。常時3,001人以上の事業場では、専属産業医を2人以上選任するよう義務付けられています。

3.産業医との契約書締結で重要な契約形態

産業医との契約書締結において、契約形態の理解も重要です。産業医との契約形態は、主に直接雇用契約と業務委託契約の2種類に分けられます。

直接雇用契約は、従業員を雇用する場合と同じように、企業と産業医が直接契約を交わします。雇用形態は契約社員、アルバイトなどがあり、従業員数規模の大きい事業場で専属産業医を選任する際、直接雇用契約を交わす傾向があります。

一方、業務委託契約は、企業が外部の企業や個人へ業務を委託する際に結ぶ契約を指し、外部の企業や個人は業務の対価として報酬を受け取ります。
嘱託産業医と契約する際に用いられる傾向があり、産業医選任サービスなどを介する場合、業務委託契約の形態をとるケースが多くなります。

4.産業医との契約書に記載すべき内容

産業医との契約書に記載すべき項目は、主に以下が挙げられます。

  • 産業医選任
  • 職務内容
  • 事業場の責務
  • 情報の取り扱い
  • 報酬
  • 補償
  • 契約の有効期間
  • 反社会的勢力

産業医選任については、どの範囲の事業場で産業医として選任されるのかを明確に記載します。

職務内容については、法や規則の規定に基づき、職場巡視や衛生委員会、ストレスチェック、健康診断など、産業医に求められる役割を記載します。さらに訪問場所、頻度、時間、延長追加作業、キャンセル規定など事前に定めておくと良いでしょう。

事業場の責務については、産業医の業務遂行のために事業場側が協力する旨を記載します。産業医が従業員から得た個人情報やデータは、産業保健の目的以外に使用しないことを明記しておくことが必要です。

報酬に関する項目では、時給や月額報酬、支払日、交通費や通信費に関して明記しておきましょう。なお、必要に応じて追加項目などがあれば、適宜修正することが大切です。補償では、職務遂行中または事業場への移動中に生じた損害について、企業が補償する内容を記載します。

契約の有効期間については、解約する場合の通知時期などを記載します。産業医契約は1年契約で自動更新の場合が大半です。

参考:日本医師会認定産業医制度|産業医契約書の手引き

産業医選任サポートのご案内はこちらをご覧ください。産業医選任サポートのご案内はこちらをご覧ください。

5.産業医との契約書のひな形

産業医との契約書のひな型は、日本医師会や厚生労働省の独立法人従業員健康安全機構といった、公的機関のホームページで公開されています。

ひな形には契約書に記載すべき項目が盛り込まれているため、書類作成の負担軽減につながるでしょう。

参考:日本医師会認定産業医制度|産業医契約書の手引き

参考:中小企業のために産業医ができること|独立行政法人従業員健康安全機構

6.産業医と契約書を交わす前の注意点

産業医との契約では、選任後のトラブルを回避するため、事前に以下の3点について注意する必要があります。

  • 業務を確実に遂行してくれる産業医を選任する
  • 依頼したい職務内容を具体化して確認する
  • 産業医側の条件を事前に確認する

それぞれ解説します。

業務を確実に遂行してくれる産業医を選任する

産業医との契約において、産業医としての職務を遂行してくれる産業医を選任することが重要です。産業医を選任して契約書を交わしたものの、忙しいからと職場訪問をしなかったり、職務を遂行しなかったりする、いわゆる「名義貸し」に注意する必要があります。

依頼したい職務内容を具体化して確認する

産業医を選任し、契約を交わす前に、自社に適した産業医かどうかよく検討することが大切です。まずは自社の課題を明確にする上で、どのような産業医が自社に必要か確認しましょう。さらに産業医に依頼したい職務内容を具体化し、確認しましょう。

例えば、長時間従業員が多い職場であれば、長時間勤務による健康問題およびその対応や予防に関する専門知識を持っている産業医を選任する必要があります。

産業医側の条件を事前に確認する

産業医と契約を交わす前に、自社の希望だけでなく、産業医が希望する働き方の条件を事前に確認しておきましょう。

産業医は、自院や他の医療機関で兼業しているケースが大半です。また、嘱託産業医では、複数の事業場を掛け持ちし、半日単位で勤務場所を移動している医師も多いものです。そのため、産業医が業務に従事しやすいよう配慮する必要があります。産業医と企業の双方で、産業保健業務に必要な時間をすり合わせておくことが大切です。

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7.産業医の契約書に関するよくある質問

産業医の契約書に関するよくある質問として、以下2点が挙げられます。

  • 産業医と契約書を交わす際に立会人は必要?
  • 産業医契約書と選任報告書の違いは?

それぞれ解説します。

産業医と契約書を交わす際に立会人は必要?

基本的には立会人は不要です。しかし、医師会を経由する場合はその地区の医師会のルールに則り、医師会が立会人になる場合があります。

本契約を証するため、甲乙が署名・捺印の上、本書を各自 1 通ずつ保有する。
〇〇医師会(立会人)は、本契約に立ち会うよう努める。なお、立ち会う際は、
甲乙および立会人が署名・捺印の上、甲乙および立会人が各 1 通ずつ保有する。

引用:日本医師会認定産業医制度|産業医契約書の手引き

立会人を必要とする場合、産業医・企業・立会人用に契約書3通を作成しなければなりません。

産業医契約書と選任報告書の違いは?

産業医を選任する際、産業医契約書のほか、産業医選任報告書が必要です。産業医選任報告書とは、産業医を選任したことを記載して労働基準監督署に提出するもので、産業医契約書とは異なります。

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8.まとめ:産業医の契約書は条件面をできるだけ具体的に記載しよう

産業医の契約書には、主に職務内容・報酬・情報の取り扱い・事業場の責務などを記載しましょう。また、日本医師会や厚生労働省などで、産業医契約書のひな形が準備されているため、活用すると良いでしょう。産業医との契約を交わす前に、自社に適した産業医を選任することや、産業医の条件を確認しておくことが大切です。

また、自社の状況に応じて産業医へ依頼する範囲、頻度は変わりますので、条件交渉および契約のまき直しを忘れずに行いましょう。

自社の状況や業務内容に適した産業医を選ぶためには、産業医を選任するサービスを利用するのも1つの方法です。弊社では、産業医の選任を支援する産業医選任サポートサービスを提供しています。産業医の選任だけでなく、コーディネーターによる産業保健活動サポートが充実していることが特徴です。法改正や厚生労働省、労働基準監督署の方針などを背景に、あらゆる業種業態に合わせてサポートいたします。産業保健活動を充実させ、従業員の健康を守りたい方はぜひお問合せください。

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