はたらく、の今と未来を見る。さんぎょうい株式会社

災害対策に必要な性差や女性社員への配慮のポイント



 令和6年の能登半島地震で犠牲になられた方々に心からお悔み申し上げます。被災された皆様とご家族にお見舞い申し上げ、また、救済と復旧・復興支援に尽力されている方々に深く敬意を表します。一日も早い皆様の安全と被災地の復興をお祈りしています。

はじめに

 近年、日本では多くの人が予想だにしなかった規模の自然災害や感染症の拡大などを経験しています。さらに、これからも自然災害、パンデミック、テロなどによる予測困難な状況が社会、企業、個人に大きな影響を与えることがあり、それらから目を背けることはできません。こうした未曾有の事態に対処するためには、個人は当然のこと、企業も柔軟で即応性の高い対策を講じておくことが不可欠です。

 既に多くの企業で、事業継続計画の策定が進み、日ごろから訓練や備蓄品の見直しなどが行われていると思います。未整備ならば、早急に計画を作成することをお勧めするのはもちろんのことですが、整備されている企業においても、いま一度計画に見落としている点がないか、実情に沿った計画になっているかなどを点検してみてはいかがでしょうか?

本稿では、計画を策定する際に見落とされがちな点について、産業保健の視点からお伝えします。

目次

1. 脆弱性の高い社員のための備え

2. 女性社員のための備え

3. 生理用品の確保

4. 寒さ対策

5. プライバシーの確保

6. 心理的サポート

7. さいごに


1. 脆弱性の高い社員のための備え

 一般的に未曾有の事態が発生した場合、健康障害のリスクが最も増大するのは高齢者、障害者、乳幼児、病気を抱える人などです。貴社では、この最も脆弱性が高い社員のための備えは十分でしょうか?まず、自社の高齢社員、障害を持つ社員、病気を抱える社員などの状況を個別に把握し、これらの社員のための適切な備えを考えましょう。貴社の産業医などの産業保健スタッフに相談するのも一つの方法です。備えの検討を進める際に重要なアドバイスを期待できます。産業医がいない場合には、産業保健総合支援センターなどに相談してみてください。

2. 女性社員のための備え

 見過ごされがちなのは、女性社員のための備えです。女性だから未曽有の事態において健康リスクが高まるとまでは言い切れませんが、妊産婦であるとか、女性に特有な事情でリスクが高まる場合があります。そして多くの場合に、女性に特有の困難な状況が生じる可能性はあります。女性社員に対する備えの要点をいくつかご紹介します。

3.生理用品の確保

 地震などによって女性社員が帰宅困難になった場合に備えて生理用品や衛生用品などの備蓄が重要です。事業所内や避難所での待機が長くなれば、手持ちの生理用品では足りなくなります。また、被災時の女性の体調変化に、ストレスで急に生理が始まってしまうことがあります。生理中の女性がナプキンなどの生理用品を適宜に交換できずに回数が減ると、尿路感染などの原因となる可能性があります。女性社員がどの程度待機される可能性があるかを見積もって備蓄品に加えると良いでしょう。

 さらに、可能ならばデリケートゾーン用のふき取りシートも備えられればより良いでしょう。不快感の解消や感染症の予防に効果があります。

4.寒さ対策

 寒さへの対策は女性だけでなく、男性にも関係しますが、女性は一般的に男性よりも寒さを感じやすい傾向があります。これは、女性が平均して筋肉量と基礎代謝量が低いことや、女性ホルモンであるエストロゲンやプロゲステロンの影響があると言われています。

 寒冷な季節の災害に備えて、十分な量の毛布やひざかけを用意しておくことが重要です。実際に、災害時に毛布やひざかけが役立ったという女性の声が多くあります。

5.プライバシーの確保

 事業場で宿泊が必要になった場合、特に女性のプライバシーに十分な配慮が必要です。プライバシーの確保は、安心感だけでなく、メンタルヘルスへの悪影響を防ぐ上でも重要です。プライバシーを確保する方法は事業場の環境によって異なります。普段から、プライバシーを守るための対策を考えておくと良いでしょう。

6.心理的サポート

 地震などの災害は精神的なストレスを引き起こします。震災後は時間の経過とともに心理的サポートのニーズが出てきます。日頃から産業保健スタッフにメンタルヘルスの相談ができる体制があると良いでしょう。

7.さいごに

 以上は女性社員を考慮した場合の備えの一例です。業種、業態、事業場の環境、社員の働き方などによって、他にも備えておくべきものがあるかも知れません。災害への備えを検討する場合には、女性や少数の立場の方たちの意見も取り入れるように留意してください。

<参考>

産業医科大学産業生態科学研究所災害産業保健センター

●令和6年能登半島地震 産業保健職向け情報提供

https://dohcuoeh.com/notoearthquaketop/

●女性に特有の健康障害とその対策

https://dohcuoeh.com/notoearthquake7/

産業保健スタッフとの連携に

●危機事象発生時の産業保健ニーズ

https://ohtc.med.uoeh-u.ac.jp/tools/tool03


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(文/大内 麻友美)
さんぎょうい株式会社/ソリューション事業部 保健師事業室 室長(看護師/保健師・キャリアコンサルタント・第一種衛生管理者・産業カウンセラー他)
北海道の地域基幹病院に看護師として従事した後、子育てをしながら健診機関やクリニックにて予防医学に関わる。
その後、働く人の健康管理に携わるため保健師として産業保健業務に従事する。
現職では、さまざまな規模の企業に対して、個別支援を中心としたかかわりから、広く集団に向けて健康情報の発信や、喫煙対策プログラム構築、導入支援など産業保健サービスに携わる。