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いよいよ4月開始!「第14次労働災害防止計画」のポイント


計画

厚生労働省が労働安全衛生の推進のために策定している「第14次労働災害防止計画(以下第14次防)」が今年の4月から開始されたのはご存じでしょうか?本コラムでは、第14次防のポイントをお伝えしていきます。

目次

  1. 「第14次労働災害防止計画」とは
  2. 「第14次労働災害防止計画」で挙げられている課題と現状
  3. この機会に職場の労働安全衛生の推進状況を見直してみましょう

1.「第14次労働災害防止計画」とは

2023年度を初年度として5年間にわたり国、事業者、労働者などの関係者が目指す目標や重点的に取り組むべき事項を定めたものです。これまで対策に取り組んできた結果、労働現場における安全衛生の水準は大幅に改善しました。

2.「第14次労働災害防止計画」で挙げられている課題と現状

職場における労働者の健康保持増進に関する課題については、働き方改革への対応、メンタルヘルス不調、労働者の高年齢化や女性の就業率の上昇に伴う健康課題への対応、治療と仕事の両立支援やコロナ禍におけるテレワークの拡大など、多様化してきており、現場のニーズの変化に対応した産業保健体制や活動の見直しが必要とされています。

現在、日本の労働人口の約3人に1人が働きながら通院しています。しかし、治療と仕事の両立支援が可能な事業所の割合は4割程度となっています。そのためか疾病を抱える労働者の8割以上が治療開始後に離職しています。

メンタルヘルス対策については、ストレスチェックの導入とともに対策が進んでいる印象もありますが、精神疾患の労災認定件数は増加傾向にあります。また小規模事業場ではメンタルヘルス対策の取り組みが減少傾向にあります。

退職届を出す

3.この機会に職場の労働安全衛生の推進状況を見直してみましょう

労働者などに安全衛生対策の必要性やその費用が含まれることへの理解が求められています。また安全衛生対策に取り組むことが社会的に評価される環境づくりとして、「健康経営」など評価制度の活用推進がうたわれていることや、第14次防の目標達成に向けて数値目標が定められています

第14次防では、働き方に関係なく(事業場の規模や雇用形態・年齢などによらず)安全と健康が確保されている、という前提のもと、今後はさらに多様な形態で働く一人一人が潜在力を十分に発揮できる社会を目指しています。第14次防の課題で自社と共通するものがあるなら、先ずはそこから取り組んでいくことをお勧めします。今後、先行事例や対策のノウハウが示されていくので取り組みやすいと思います。

参考文献:第14次労働災害防止計画 https://www.mhlw.go.jp/content/11200000/001087164.pdf/第14次労働災害防止計画に向けた論点 https://www.mhlw.go.jp/content/11201250/000994095.pdf

(文/大内 麻友美)
さんぎょうい株式会社/ソリューション事業部 保健師事業室 室長(看護師/保健師・キャリアコンサルタント・第一種衛生管理者・産業カウンセラー他)
北海道の地域基幹病院に看護師として従事した後、子育てをしながら健診機関やクリニックにて予防医学に関わる。
その後、働く人の健康管理に携わるため保健師として産業保健業務に従事する。
現職では、さまざまな規模の企業に対して、個別支援を中心としたかかわりから、広く集団に向けて健康情報の発信や、喫煙対策プログラム構築、導入支援など産業保健サービスに携わる。
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